学生生活

ここでは、フィールド科学専修での学生生活を2年生A1・A2タームから卒業まで、代表的な時間割と先輩方のコメントも交えながら紹介していきます。

2年生 A1・A2ターム

-弥生キャンパスでの講義が始まります-

農学部全体で共通の農学総合科目と農学基礎科目を学びます。フィールド科学専修では必修が少ないので、自分の興味に従って自由に選んだ講義が中心になりますが、フィールドワークやフィールドで得たデータの解析に必要となりそうな知識を得られる講義を受けるのが基本です。オムニバス形式の講義も多いので、農学部の先生を数多く知ることができるでしょう。農学共通科目で必修の農学リテラシーと環境倫理もこの時期に開講されますので、取り忘れにご注意ください。

時間割の例(必修・選択必修科目の全てをあげています)

2年生A1ターム

月曜火曜水曜木曜金曜
1限
2限生物の多様性と進化
3限 遺伝学環境と生物の情報科学動物生態学
4限環境と景観の生物学植物生態学
5限環境倫理生態系の中の人類生物統計学

2年生A2ターム

月曜火曜水曜木曜金曜
1限
2限生物の多様性と進化
3限 遺伝学動物生態学
4限植物生態学
5限生物統計学

※オレンジ枠は必修科目、黄色枠は選択必修科目です。

必修が少ないので自分の好きな講義を取ることができました。総合科目と基礎科目22単位以外に、課程専門科目3科目をとり、28単位取ることができました。そのおかげで、3年生でフィールド科学の専門科目に集中することができました。

(2013年度農学部進学 吾妻直彦

3年生 S1ターム・サマープログラム

-フィールド科学専修の醍醐味である実習が始まります-

課程専門科目が始まります。必修科目は実習とそれに関連する講義が中心です。必修はそれほど多くないため、自分の生活スタイルに合わせて履修する科目を調整する人もいれば、空きコマをなくして単位を大量に取得する人もいます。実習には、毎週決まった時間にキャンパス内で行われるもの、土日や夏休み中にフィールドに出掛けて行われるものがあります。また、いくつかの講義・実習は緑地環境学専修と合同なので、新たな仲間を作ることができます。

時間割の例(必修・選択必修科目の全てをあげています)

3年生S1ターム

月曜火曜水曜木曜金曜
1限森圏管理学森林生態圏管理学農地環境工学
2限ランドスケープエコロジー森林植物学沿岸環境動態論 生物環境物理学森林動物学
農地環境工学
3限森圏管理学保全生態学実習沿岸生態学実習生物多様性科学
4限沿岸環境動態論生物多様性科学
5限ランドスケープエコロジー

※オレンジ枠は必修科目、黄色枠は選択必修科目です。

サマープログラム

集中講義・実習(必修):自然共生社会論、生物多様性科学実習、保全生態学実習、森圏管理学実習、沿岸生態学実習、森林科学総合実習

講義(選択必修):森林植物学(火2)、森林動物学(金2)、森林生態圏管理学(木1)、生物環境物理学(木2)

講義と連動して実際に学べる実習はとても面白かったです。自分で行くのとは異なり、専修の先生たちとともに自然の中で学ぶことは刺激的でした。(2013年度農学部進学 井上遠

3年生 A1・A2・Wターム

-配属される研究室が決定されます-

A1ターム以降は外に出る実習よりも、屋内で解析作業を行う実習の方が多くなります。S1タームやサマープログラムに単位を多く習得できた人は必修以外に取るべき科目は少なくなり、この学期で卒論を除く卒業に必要な単位を取り終える人がほとんどです。講義や実習、先輩達の話をもとに、自分の興味に従って4年次に配属される研究室の希望を出し、12月に決定します。

時間割の例(必修・選択必修科目の全てをあげています)

3年生A1ターム

月曜火曜水曜木曜金曜
1限生物海洋学
2限保全生態学 都市農村計画学水産資源学
3限バイオメトリックス緑地計画学
森林遺伝育種学
森圏管理学実習生物多様性科学実習ランドスケープエコロジー実習
4限持続的植物生産学雑草学
5限昆虫生態学

3年生A2ターム

  • A2ターム集中講義:保全生態学(必修)、生態工学(選択必修)

※オレンジ枠は必修科目、黄色枠は選択必修科目です。

3年生Wターム

集中講義:生態工学(選択必修)

研究室選びについては、11月中に研究室訪問を行い12月初めに決定することになっていました。興味のあった3つの研究室を訪問し、先生方と卒論のテーマについてお話ししました。また、学生部屋などを見せていただき、自分に合うと思った研究室に決めました。その後、研究室のゼミなどに参加し、4年生になる前に研究についてのイメージをおぼろげながら掴むことができました。講義については、S1タームに取った単位が比較的少なかったのでA1A2タームは頑張ってたくさん取り、卒業に必要な単位をそろえました。(2012年度農学部進学 田中龍大

4年生

-卒業論文を作成します-

所属する研究室での卒論研究が生活の中心です。研究室に来て論文を読んだり、フィールドで調査を行ったり、室内で実験や解析を行ったりして、結果をもとに指導教員や先輩とディスカッションをしながら卒論を完成させます。卒論の内容は2月の卒論発表会で専修の教員や学生達の前で発表します。多くの研究室では週に1回ゼミが開かれ、論文紹介や自分の研究の報告を行います。修士課程に進学を希望する人は、8月に大学院入学試験を受けます。

生物多様性研究室 2011年度農学部進学 西川知里 (指導教員:宮下)
アメリカザリガニの成長に対する“自己促進効果”

アメリカザリガニは日本各地の湖沼に侵入している外来種で、個体数を急激に増やして水生昆虫などを食べ尽くし、元の生態系を全く別の状態に変えてしまいます。この大発生の原因として、生物が自分に都合の良いように環境を変えてしまう生態系エンジニアリングという現象が考えられます。ザリガニは湖沼の水草を切って減らしてしまう性質を持っていますが、これは水草自体を食べることが目的ではなく、ヤゴなどザリガニの餌となる昆虫の隠れ家を奪う効果があるということが解ってきました。私の研究では、水草を切ることでザリガニがヤゴを食べやすくなり、成長率が高くなるということを示しました。

保全生態学研究室 2011年度農学部進学 和田翔子(指導教員:鷲谷)
土壌剥離跡地に発達しつつある湿地における植生の多様性とミズゴケ

近年地球規模で泥炭湿地の喪失が著しいため、その保全・再生の研究は注目されています。 私の研究では、人為的な攪乱を受けた後の植生回復のプロセスを理解することを目指して、泥炭湿地の重要な構成種であるミズゴケに着目した植生調査、そのデータに基づく統計解析を行いました。現地調査では植物の調査以外にも、生物多様性に関する自治体の取り組みについても学ぶ機会があり、充実した研究生活を送ることができました。

保全生態学研究室 2012年度農学部進学 早川郷(指導教員:吉田)
イネにおけるイノシトール代謝とストレス耐性の関連の解明

現在世界中で問題となっている食糧不足の解決のため、食糧増産の必要性が叫ばれています。そこで、私は高塩濃度、リン欠乏などの問題を抱えた土地でも生育可能な作物の作出を目指して研究を進めています。イノシトールは様々な生物中に存在する物質ですが、植物においてはストレス耐性に関与すると言われています。私の研究では、イノシトール代謝の活性化によるストレス耐性の向上や、未知のイノシトール代謝物とストレス耐性との関連について調べています。研究生活は初めてのことだらけで大変ですが、先生、先輩のご指導のもと、自主的に取り組める環境が気に入っています。

緑地創成学研究室 2011年度農学部進学 安部広乃(指導教員:武内・大黒)
国営昭和記念公園における有機性廃棄物処理のコスト分析

私の研究は公園の植物廃棄物を再利用処理するコストの推計という内容でした。専修のテーマや研究室の専門からずれていないか不安になりながらも、最後にはポリシーを持って研究を完成させられたと思います。初めてのゼミ発表は本当に緊張しながらの研究報告でした。論文の読み込み、院試の準備なども先輩方に沢山教えていただきながらでしたが、気付けば自分なりの勉強のし方が確立出来ていました。データ収集では、対象地で働く方々と少しずつコミュニケーションを深めながら、試行錯誤で聞き取り調査を行いました。理系としては珍しい、とても貴重な経験だったと思います。この専門の知識が社会の中で直接役に立つかどうかはまだ分かりませんが、この分野を学ぶことで得られる視点や、自分独自の卒業論文をひとつ完成させるという経験は、今後の人生で幾度も活きてくる財産になるだろうと考えています。

森圏管理学研究室 2011年度農学部進学 杉浦奈実(指導教員:井出)
葉緑体DNAシーケンスを用いたイチイガシ(Quercus gilva)の遺伝構造

私は、ブナ科樹木イチイガシについて研究しています。本種は日本では千葉県以西に分布するものの九州以外では非常に個体数が限られており、地域によっては絶滅危惧種に指定されています。人の長期にわたる生育地開発が個体数減少の一因とされています。卒業研究では、本種の将来的な地域個体群保全を目指して葉緑体DNAシーケンスという手法により種が辿ってきた歴史や保全に関わる情報を明らかにしました。研究過程で学外を含めた様々な立場の方にご協力を賜るのは難しくもあり、また研究の目標が明確になる貴重な経験でもありました。

水域保全学研究室 2010年度農学部進学 立松沙織(指導教員:佐野・岡本)
コンクリート護岸がマングローブ魚類群集構造に与える影響

マングローブ林は魚類の餌場や捕食者からの隠れ場として機能する重要な生息場として知られています。しかし、近年、エビ養殖場への転用や都市開発などによって世界中でマングローブ林が大規模に伐採されています。こうした伐採がマングローブ水域の魚類群集に与える影響を明らかにするために、私は沖縄県西表島の与那田川において、目視観察による魚類群集の調査によって、マングローブ林が伐採され護岸が造成された場所とマングローブ林が残存する場所の比較を行い、護岸造成がマングローブ水域の魚類群集に与える影響を明らかにする研究を行いました。卒業研究を通して、野外調査の厳しさや得られたデータを論文としてまとめる難しさを知ることができ、研究のやりがいを感じることができました。